シナベニアしみ?アク?

お世話様です。塗巧です。

シナベニアのシミ?

先日の話ですが、とある現場の監督から電話があり、私たちが塗った木部が汚れていると言われました。現場で確認してみると、シナベニアの腰板と巾木の入角からシミが発生していました。

おわかりいただけるでしょうか。これでは検査に通らないからなんとかしてくれと言われました。

大抵の場合仕上げ業者がなんとかしろと言われます。造作した大工などには何も言いません。最後に触ったのは確かに塗装屋ですが・・・

私はこのシミを見た瞬間、汚れを疑いました。浸透性のバトンクリアを塗っただけでこんなシミがしかもこの部分にだけ発生するなんてあり得ないと考えました。この巾木は腰板のシナベニアの厚み分シャクってあり、巾木を先に取り付け、そのくぼみにシナベニアの腰板を乗せる構造になっています。

巾木を取り付けしてから数日空いていたのも知っていました。その間、現場はさまざまなゴミや塵が舞っています。地面のコンクリートを削ってみたり、壁のパテを削ってみたり。そうしたゴミ塵が巾木の窪みに堆積するのは当然の結果と言えます。

大工はゴミがあっても取り除くことはせずそのままシナベニアの腰板を嵌め込みます。そこに水のようなシャバシャバの塗料が流れてきたら塵を溶かし腰板の木口から吸い込むのは当然のことだと思います。

それを説明しても塗装屋が塗りすぎたんだろうの一点張りでろくに取り合ってくれません。補修しようにも木の表面ではなく、内部の問題ですので、サンダーを当ててみても全く効果がありません。

補修方法

私は建築の傷補修の事業も手がけております。その技術でこのシミを消そうと試みました。結果は惨敗です。白いシナベニアの濃い色のシミに対して白に戻すことは現実的ではありませんでした。ベタ塗りのようになり明らかにシナベニアの質感を損なってしまい逆に目立ってしまいます。

別の方法を試みます。木部塗装の際に使用するとの粉を使用しました、との粉を水に溶かししみの部分に刷毛で塗りました。

このように刷毛で塗ります。全然色が違うので最初はまずいと思いましたが、との粉が乾燥するにつれてこうなります。

シナベニアとほとんど同じ色に乾きました。このままですと横一直線に引いた刷毛の跡が分かりますので、手で擦り刷毛の輪郭をぼかします。そうするとほとんどわからなくなります。

しかし、との粉は所詮ただのコナですので水拭きなどで簡単に落ちてしまいます。ウレタンクリアなど塗膜で保護しないと意味がありません。ですが、この現場の仕上げはバトンクリアですので、塗膜をつけるわけにはいきませんん。どうしたかというと、そのままとの粉の状態で引き渡します。

シナベニアを張り替えることもできませんので仕方ありません。根本的な解決ではありませんが私の補修の仕方を紹介しました。

もし同じようにシナベニアの塗装があるという業者の方は取り付け前のベニアを先に塗らせていただくか、然り巾木の窪みを清掃してからベニアを嵌めるよう進言してください。